誰でも世界は変えられる ─アショカ財団創設者・ウィリアム・ドレイトン

今日のソーシャル・アントレプレナーシップのクラスは、有名なアショカ財団とウィリアム・ドレイトンについてだった。
今やソーシャル・アントレプレナーシップは、世界中の大学で教えられているクラスの一つだと思うが、この話題をするときに、必ず登場するのが、アショカ財団と、その創設者であるウィリアム・ドレイトン氏だ。彼の人生、そしてアショカ財団に根ざした彼の活動は、是非僕の息子たちにも、大きくなったら学んで欲しいと思う。
ウィリアム・ドレイトン氏は、1943年にニューヨークで生まれた。ハーバード、オックスフォード、イェール大学で、経済と法律を学び、その後は10年に渡って、マッキンゼーでコンサルティング業務に従事する。その後、カーダー大統領の下で、環境保護庁の幹部として、排ガス規制の実現などに携わった。
世界の社会起業家を支援する組織、アショカ財団を設立したのは1980年。アショカ、というのは、紀元前に南アジアの統一を成し遂げた大王の名前で、経済の発展と社会福祉を実現した偉大な人物だったらしい。
このアショカ財団は、アショカ・フェローと呼ばれる社会起業家を、世界中から見つけ出し、彼らを支援することによって、世界を変えてゆく組織で、今までに世界46ヶ国、1400名以上の社会起業家たちを支援してきた。
個人的に非常に興味深いのが、彼らの活動のスタンスで、アショカは決してプログラムや組織には投資せず、社会起業家本人に固定給という形での財政支援と、様々な助言を行っていることだ。そして、そのアショカフェローとして、以下の4つの特質を見ているのだという。
(1)創造性
(2)起業家にふさわしい性格
(3)アイデアの中身
(4)倫理性
この特質についてのドレイトン氏のコメントは非常に面白い。以下、引用。
相手の生い立ちについて質問を投げかけると、役に立ちます。というのも、創造性は大人になってから身に付くものではなく、萌芽が見て取れますから。
二つ目の基準は起業家にふさわしい性格ですが、・・・創造性と博愛の心にあふれ、熱意の塊のような人を1000人集めたとしても、起業家としての特質を持つのはそのうち一人いるかどうかです。・・・私達にとっての起業家とは、世界を変える人々を指します。起業家は、自分のアイデアが形になったあとの世界を思い描き、そうした世界が実現するまで休まず働き続けます。・・・学校を一、二校変えただけでは決して満足しないのです。
・・・アイデアは、仮に発案者の手を離れたとしても、それ自体が優れた内容でなくてはなりません。どれだけ多くの人にどれだけ深い影響力を与えるアイデアか、というのも大切な点です。
最後は倫理観ですね。世界を変えるためには、大勢の人に仕事のやり方を変えてもらわなくてはなりません。強い倫理観を持ち、まわりから信頼される起業家でなくては、このような変化は促せないでしょう。
ドレイトン氏は、アショカ財団という組織を通し、上記の特質を持つ世界の社会起業家たちを支援することで、自らの活動に二重、三重のレバレッジをかけて活動しているのだ。この方法は、非常に賢いし、また効果的だと思う。
最後に、チェンジメーカー及び、子供が学ぶべきことについての、示唆に富んだ彼のインタビューを掲載しておきたい。
重要なことは、一人ひとりがチェンジメーカー(変化を起こす人)であり、誰もが社会を変えられる力を持っている、ということです。そのチェンジメーカーの最前線にいる人たちが、社会起業家です。社会起業家が成功するもっとも重要なポイントは、地元の小さな「意思ある人々」を積極的に活用し、自ら変化を起こしてもらうこと、つまりチェンジメーカーになってもらうのです。
子どもたちは、他者への深い思いやりのこころを学び、習得する必要があります。それがないまま成長した子どもは、これからの時代は生きていけません。近くで、または遠い国で困っている人までを思いやることのできるこころこそが、学び、磨いていかなくてはならない能力です。それは、遺伝しません。子どもたちが思いやりのこころを学ばず、磨くことができないシステムになっていることが、現在、地球上の25%の人々が生きるか死ぬかの状況に追い込まれていることにつながっているのです。
子どもは12歳の年齢に達すると、もはや子どもではなく、人間になります。子ども時代に自信と力を与えられて育てば、12歳以降、一生涯チェンジメーカーとなるでしょう。そして12歳から、集団生活の中で思いやりのこころを学んでいくのです。

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