靖国神社へ行って感じたこと
どういうわけか、普段は行く場所にあまり意見を出さない自称ジャイアント・ガイジンのエリックが、靖国神社のWar Museumに行きたいと言っていたので行くことになった。
九段下の駅を4人で降りて、武道館を横目に、靖国神社へ向かう。この武道館は、1997年に、大学の入学式で足を運んで以来だ。懐かしい。あの頃の僕は、1年に及ぶ浪人時代を終えたばかりで、社交性を失った、やや屈折した大学生だったと思う。あれから12年も経って、また学生をしているなんて、何とも不思議な気分だ。そして、今は3人のアメリカ人と一緒に、12年前と同じ場所を歩いている。
巨大な鳥居をくぐり、まっすぐ直進する。

神社の本堂に近づくと、その手前の休憩所で、なにやら日本の軍服を着ている70代か80代のおじい様がたが、ラッパを吹きながら、日本の国旗を掲げて叫び声を挙げている。
ローレン 「あれは、一体何をしているんだ?」
僕 「さあ。右翼じゃないかなぁ。」
ローレン 「ウヨク?写真取れるかな?」
僕 「聞いてくるよ。」
近づいて聞いてみた。
僕 「何をしていらっしゃるんですか?何か今日あるんですか?」
軍服のおじいさん 「ああ、これは単なる趣味ですよ。趣味。毎日こうして来てるんです。」
僕 「そうなんですか。実はアメリカから友達が来ていて、観光で来たんですが、彼らが何をしているのか知りたいっていうので。」
軍服のおじいさん 「何、アメリカ!?」
突然軍服のおじい様方の目の色が変わった。
国旗のおじいさん 「アメリカ、あいつらだけは絶対に許せん。大東亜戦争で、どれだけの日本人が殺されたことか。」
軍服のおじいさん 「現代における最大の敵は共産主義だ。それなのに、アメリカの奴、中国や北朝鮮と仲良くしやがって・・・許せん。」
国旗のおじいさん 「君、君も日本人なら、あのアメリカ人たちにしっかり教育してあげなさい。ブツブツブツ・・・」
僕 「・・・・・(ヒー)」
おじいさんたちは、アメリカに対する敵意を丸出しにして、どんどんとヒートアップしてくる。写真なんて、とても頼めない。何とか話を中断て、3人のところに逃げ帰った。
本堂を少し見た後、ミュージアムへ向かった。遊就館だ。
この遊就館にはびっくりした。この遊就館の内容を語る前に、靖国神社とは何か、簡単に触れておきたい。靖国神社は、幕末から明治維新にかけて功のあった志士達から、戊辰戦争以降の日本の国内外の事変・戦争等、国事に殉死した日本の軍人、軍属等を祭神としている。靖国神社本殿に祀られている「祭神」は「天皇・朝廷・政府側の立場で命を捧げた」戦没者、英霊で、計246万以上の柱が祀られている。
つまり、簡単に言うと、靖国神社とは、お国のために亡くなった人たちを祭る神社なのだ。実際、遊就館に入ってみると、幕末から大東亜戦争(第二次世界大戦)までの歴史と共に、殉死した人たちがたくさん紹介されていて、英語では彼らを 「War Hero (戦争の英雄)」と表現している。
これはひどい。遊就館の展示品すべてが、国安かれと亡くなった人たちを祭る、という大義名分の下に、侵略戦争のすべてを正当化しているのだ。
ここ数年、アメリカと日本を何度か往復する中で、韓国人、中国人そしてアメリカ人のクラスメイトたちと戦争について語ったり、ひめゆりの生き残りである社長(妻)のお婆ちゃんから話を聞いたりする機会を得ることができたが、如何なる戦争も、自衛などのごく限られた理由を除き、決して正当化してはいけないし、すべきではないと思う。
先に出会った、軍服を着た右翼のおじい様が、第二次世界大戦のことを、
「白人主義からアジアを守るために戦った聖戦だ」
と表現していたが、冷めた目で見れば、間違いなく大東亜戦争は日本が仕掛けた侵略戦争だし、如何なる大義名分も、日本が韓国や中国に対して行ってきた残虐な行為の数々を、正当化することは出来ないと思う。
日本を間違った方向へ導いてきた指導者たちに対する批判や反省なく、いたずらに亡くなった人々を祭ることは、逆に、亡くなった方々に対する、侮辱になるのではないだろうか。日本を間違った方向に導いてきた国の指導者も、その犠牲になった若者達も、ともに神として祭壇に祭る。道理で、小泉首相が参拝するときに、韓国や中国が激怒するはずだ。
遊就館を歩き回りながら、僕はだんだんと気分が悪くなってきた。中里のおばあちゃん(ひめゆりの生き残り)も、きっとここに来たら気分を害されるのではないだろうか。
遊就館では、上記に書いたようなことを、3人に話しながら進んでいったのだが、彼らも、真珠湾攻撃は日本が全面的に悪いだとか、朝鮮戦争やベトナム戦争はアメリカの間違いだったとか、いろいろなことを話しながら館内を歩いて回った。ちなみに、3人のアメリカ人の中で、ローレンだけは数年前にイラク戦争に出兵している。バクダットに数ヶ月滞在していたという。
本当なら、広島や長崎の原爆ミュージアムを見せてあげることができればよかったのだが、しかし本当にここにこれてよかったと思う。いろいろと考えさせれられた。ジャイアントガイジンたちよ、僕をここに連れてきてくれてありがとう。
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