佐野 眞一 『誰が本を殺すのか』 ─本から文化を考える
帰国してから、日本語の本をむさぼり読んでいるのだが、中でも面白かったのが、この、『だれが「本」を殺すのか』。この本は、インターンシップ先のマネージャーが進めてくれた課題本の一つだったのだが、軽い気持ちで読み始めたものの、読み進めるうちに非常に考えさせられてしまった。
相次ぐ出版社の倒産と書店の閉店。活字離れと少子化。毎日200点もの新刊が並ぶのに、書籍の売上は下降の一途を辿るばかり。果たして「本」を殺したのは誰なのか。著者の佐野氏は、犯人を見つけるため、書店、図書館、流通、出版社、著作者など、すべての関係者に隈なくあたり、その姿をあぶりだしてゆく・・・
第一に衝撃を受けたのは、文章能力の高さ。僕もこのブログで「文章」なるものを書いてはいるが、佐野氏の文章を読んでいて、日本語や書籍に対する深い理解とこだわりを強く感じた。僕は読書は好きなのだが、読むのは専らビジネス書ばかりだったこともあり、日本語そのものを味わう、ということをまったくしてこなかった人間だと思った。
第二に、日本の出版業界の問題の深刻さ。日本人MBAの皆と、『イヤー、いつか本とか出版してみたいよねー』と、半冗談、半本気でよく話をしていたのだが、本にまつわる日本の出版業界の状況が、ここまで深い病巣に飲まれてしまっているとは、まったく知らなかった。
最後に、本というものの持つ、果てしない可能性と役割についての認識。読んでいて衝撃だったのは、『書籍は文化を創る…』というくだり。今まで、そんな風に本というものを考えたことがなかった。本の死、それは文化の死をも意味するものであり、日本の今後の教育問題にも深く関わってくる問題だと感じた。
「本との出合い」と「人との出会い」は同義語だと僕は考える。これからも、よい本に出会ってゆきたいと思う。
ブックマークはこちら
Powered by SEO対策



