お婆ちゃんと、ひめゆりの塔へ行った話

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沖縄滞在3日目に、我々はお婆ちゃんと一緒に「ひめゆりの塔」を訪れた。お婆ちゃんは、毎週この「ひめゆりの塔」で、生き証人として、戦争の体験を訪問者に伝えている。

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ひめゆりの塔とは、沖縄戦末期の激しい戦闘でほぼ全滅した沖縄陸軍病院第三外科壕の跡に立つ慰霊碑。この第三外科壕に学徒隊として従軍していたのが、いわゆる「ひめゆり学徒隊」と呼ばれる、沖縄師範学校女子部と沖縄県立第一高等女学校の女子生徒及び職員総計240名である。お婆ちゃんも、この240名のうちの一人。

お婆ちゃんの話しによると、沖縄戦が始まった1945年3月末当初、ひめゆり学徒隊は、南風原にある沖縄陸軍病院に看護要員として2ヶ月間働いていたのだが、日本軍の全線が後退するにつれ、病院付近も激しい砲撃にさらされるようになったため、5月末には南部に撤退し、分散して地下壕に潜むことになったのだという。お婆ちゃんは、夜砲弾をかいくぐり、波平の防空壕に3週間身を潜めていたという。

himeyuri.jpg防空壕に身を潜めている間、捕虜にするために、米軍はひっきりなしに周辺を徘徊していたらしいのだが、生徒たちは米軍に捕まることをもっとも恐れ、手榴弾で自決した人も多かったという。どうしてなのか、お婆ちゃんに聞いてみると、次のような答えが返ってきた。

「当時の教育では、捕まったら米軍に殺される、と教えられていてね。今考えてみると、それは日本軍の秘密を敵国に漏らさないようにするための、軍事戦略の一つだったようなんだけど。教育というのは本当に恐ろしいものよね。」

さらにこう続いた。

「‥実は追い詰められたときに、私も自決しようとしたことがあってね。でも、一緒にいた日本軍の兵士さんが、『早まるな!あんた学生さんだろ。米軍は学生は殺さんと聞いてるぞ。だから早まるな!』そういって止めてくれたのよ。そうでなきゃ、あそこで死んでいたわね。」

ひめゆり平和記念資料館の第四資料室、鎮魂の部屋。ここでは、亡くなられた136人の方々の写真が展示されている。僕は、眠っている1歳になる息子を抱きながら、お婆ちゃんの話しに耳を傾けていたのだが、この「ひめゆり」から受け継いだ小さな命を両手に感じながら、あふれてくる涙を禁じえなかった。


ひめゆりの塔そのものは、学徒隊の一部が避難していた鍾乳洞の入り口にたてられているのだが、この資料館を建てるときに、この鍾乳洞を公開しよう、という話しがあったという。ところが、当時の知事が、「この場所は聖域だから」という理由で、許可を出さなかったのだという。

「私に言わせれば、何を言っているのかと思う。聖域はこの場所ではなく、沖縄すべてが聖域。本当に多くの人が沖縄全土で亡くなったのだから。」

お婆ちゃんのこの言葉には、青い海と広い空が広がるレジャー王国沖縄の持つ、もう一つの姿を僕に教えてくれているような気がした。

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太陽の下で大手を振って歩きたい…
水が飲みたい、水、水…
お母さん、お母さん…
学友の声が聞こえます。

私たちは、
真相を知らずに
戦場へ出てゆきました。

戦争は、
命あるあらゆるものを殺す
むごいものです。

私たちは
一人びとりの体験を通して知った
戦争の実体を語り続けます。

(ひめゆり平和記念資料館)

願わくは、僕の子供達が戦争の何たるかを理解できるようになった頃に、お婆ちゃんともう一度、この場所に来たいものだ。そして、自分に与えられた命の価値と尊さを、彼らが理解してくれればと願ってやまない。




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    明治大学政治経済学部卒業。帝人グループを経て、現在ブリガムヤング大学経営大学院マリオットスクールMBAプログラムに在籍。上司であるCEO(超・偉い・奥さん)と、新入社員(子供)二人の4人家族。 このブログは、まだ小さな2人の子供たちに、将来本にして贈るために書いています。


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